ベストパフォーマンスの鍵〜「三業」に一点集中〜

自分の車線に一点集中するように

高速道路で車の運転をしているときに、私にとって苦手な場面が2つありまして。
1つは、トンネルの中。
もう1つは、大きなトラックを追い抜く時。
この2つです。

単純に、怖いのですね。

トンネルを走っていると、すぐ横が「壁」というこのプレッシャーがどうにも落ち着かなくて。
「下手をしたら、うっかり壁にぶち当たりはしないか」
と、心のどこかで思ってしまうのですね。

大きなトラックを追い抜くために並走している時なんかも同じですね。
こっちの方はさらに、対象も動いているからもっと怖いです。
なぜか思わずそのトラックに吸い込まれてしまいそうな感覚に襲われたりします。

どちらの場面も、私の中では「難易度の高い場面」ということになってしまいます。

だけどよく考えたら、トンネルであろうと、トラックの横であろうと、周りに車のない道路であろうと、やることはみんな一緒なのですね。
自分の走る車線からはみ出ないように、車を走行させる。
これだけです。

たとえトンネルの壁がなくても、トラックが横を走っていなくても、自分の走る車線からはみ出してはいけないですよね。
いつも、ちゃんとはみ出さずに走っていますよね。
ちゃんと免許を取得していれば、何も難しいことではありません。

結局はどんな場面でもそれをやっていれば、高速道路のほとんどの場面では安全に走行できるのです。
(もちろん、合流地点とか、注意する場面はあるにはありますが)

それが、隣に壁があったり、隣に大きなトラックが走っていたりすると、
その「本来自分がやれば良いこと」が、とたんに思うようにできなくなってしまう。
意識の何割かがそっちへ持っていかれるのですね。
やることは同じはずなのに、急になんだか難しいことのように思えてしまいます。

だから私もそういう時はなるべく、
「自分がやることは何か」
ということだけに意識を集中させる
ように心がけています。
極力それ以外のことに意識を向けない。
ただ、いつものように車線をはみ出ないように車を走行させる。
ただそのことだけを考えるように、考えるように…
そうやってだいぶ、この苦手を克服してきているように思います。

やることは一緒なのに、ちょっと場面が変わるととたんに出来なくなる

こういうことはいろんな場面で起こることです。

畳のヘリの黒い線に沿って歩けと言われれば、たいていは簡単に歩けますね。
「いや…どうしても足が線から外れてしまう…」
そこそこ健康な身体であれば、そういうことはないと思います。

それが、塀の上を歩けと言われると、やることは同じなのになかなかできません。
歩こうものなら、うっかり足を踏み外したりバランスを崩したりして落ちてしまいそうですよね。

畳のヘリの黒い線の方が塀よりも細いのに、塀の上の方が難しい。
踏み外したら一定以上の高さから落ちてしまうということに、意識の相当部分が持っていかれてしまい、
「ただ線に沿ってまっすぐ歩く」
という単純なことが途端にできなくなってしまいます。

これも、私にとってのトンネルやトラックの横と同じことですね。

一人一人の人生に、これと似たようなことが起こっているのですね。

他人からの期待や評価
失敗した時を想像しての恐怖
自分よりもうまくいっている人の存在

色々なものに私達は心を持っていかれてしまいます。
そのために、なかなか自分のやるべきことに一点集中して取り組むことができません。

「あの人はどうしてこうなのかな…」
「この人、どうにかならないものかな…」
「この会社、本当になんとかなって欲しい」
「日本の教育はどうなっているのか…」

周りに不平を漏らす気持ちで一杯になったり。

「この人ばかり、どうして評価されるのかな」
「あの人みたいに、自分は才能も魅力もないからなあ…」

他人の華々しい結果や魅力に引け目を感じたり。

「こんなことをしてたら、周りから何と言われるか…」
「家族や友達から変な目で見られないか。」

周囲の目に恐れや遠慮を覚えてしまったり。

とにかく周囲のことに、心を持って行かれてしまいます。
そうしている間にも、
「自分は今、何をすべきか」
ということだけに一点集中
して取り組み続けていたら、不平も引け目も恐れも問題にならない、確固たる自分の現実を築きあげることができるはずです。
それなのに、現実はなかなかこうはいかない。
周りに対する不平や他人への引け目や恐れに振り回されず、「今、自分は何を行うべきか」に一点集中するということが、なかなか出来ていないのが多くの現状だと思います。

それほど世の中は自分の心を奪うものに溢れているということですね。

現代は特に、手元に携帯電話やスマートフォンがあれば、すぐに世界中の情報にアクセスできてしまいます。
せっかく一人でいる時間を作っても、タイムリーに世界中と繋がれてしまう。
ネットの世界には、色んな他人の意図が渦巻いており、また売上を伸ばそうとする企業戦略があの手この手で仕掛けてきます。

気になる芸能人
気になるマンガ
気になるエンターテインメント
気になる友達の日記

そういうものへのアクセスツールが常に手元にある。
そんな中で、着実に自分の道を進み続けるのはかなり困難なことなのかもしれません。

己の三業に一点集中

そんな中だからこそ、
どれだけ他人と繋がっていようとも、「自分がなすべき行動をする」ということ以外では自分の現実は動かない。
このシンプルな法則に立ち返ることが大切です。
仏教ではこれを「自業自得(じごうじとく)」と教えています。

自分の行いが、自分の現実を生み出す。
いつでもどこでも、これしか無いと教えているのが「自業自得」という教えです。

他人の行いが、自分の現実を生み出すことは無いということです。
他人の行いは、あくまでその他人の現実しか生み出しません。

「行い」「結果」の関係は、シビアなほどに自分は自分、他人は他人と、厳密に区別され、これらが交錯することは無いと仏教では教えます。

自分がハンドルを握っている車しか、運転できないですよね。
そしてその車は自分が運転しなければ、前へは進んで行きません。私がハンドルを握っている以上、私にしか動かせないのです。

また他人の車は、他人がハンドルを握っていて、その他人にしか動かせない。
私の意思で動かすことなど叶いません。

一人一人が、自分のハンドルを握る車を自分が運転していくしかないように、
自分の運命は、自分の行いによってしか切り開かれてはいかないというのが仏教の教えです。

そんな自業自得の道理を教えられた仏教は、とことん
「自分の行いを徹底的に見つめなさい」
という教えとなります。

自分がその手足、身体で何をやっているか。
その口でどんな言葉を発しているか。
心の中でどんなことを思っているか。
これを、身業(身体の行い)、口業(口の行い)、意業(心の行い)といって、合わせて三業といいます。

自分の三業を徹底的に見つめなさい。
これが自業自得の道理から導き出される教訓です。

見るべきは、
「あの人があんなだから…」
「会社がこんなだから…」
「家族がああだから…」
ではない。
そんな会社の中で、家族の中で、人々に囲まれている中で、
私が何を行い、何を言い、何を思うか
ここに一点集中すべきだということです。

それでしか、現実を動かすことはできないからです。

コントロールできるのは自分だけ

いや、そんな自分のことばかりではなく、他人のことももっと気にするべきでは?
という疑問が出てくるかもしれません。

確かに、他人を心配したり、他人に対して良くなって欲しいと思ったり、という気持ちは誰だってあると思います。
そんな気持ちが不要だと言われているのではありません。

しかし、だからと言って、どれだけ私が他人のことを心配していても、私が他人の現実を直接動かすことはできません。
私が他人をコントロールなんてできないのですね。
コントロールできるのはあくまで自分だけです。

自分の握るハンドルで動かせるのは自分の車だけで、他人の車のハンドルを握ってはいないということです。
どうあっても、他人の世界で生きている他人の世界を私が動かすことはできません。
いや、動かすどころか、知ることすらできません。
私の中で想像するのが精一杯で、それがそのまま他人の現実でもありません。

他人の現実は、その人しか知りえず、その人しか動かし、コントロールすることもできないのですね。

私達にできることは、自分の心を変え、自分の行動を変え、その姿を通して他人がどれだけ影響を受けてくれるか…
それを期待することまでです。

他人にとっての私は、その人の世界を構成する「縁」の一つですから。

どれだけ他人に私が「変わって欲しい」と思っても、結局変わるかどうかはその人次第ってことですよね。
自分にできるのは、その人に影響を及ぼす自分なりの心と体と口での精一杯の「行動」のみ。
それを見て、聞いて、感じて、その人が何を思い、どんな行動をするかは、やっぱりその人に委ねられています。

気になる人
好きな人
嫌いな人
なんとかなって欲しい人
などなどいる中にあって、それでも一点集中すべきはやっぱり私の三業です。
「私が」何をすべきか、です。

そこに常に目を向けるための教えが「自業自得」という仏教の教えです。

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