「海賊王に、おれはなる!」と言ってるルフィに「理由は?」と聞くのはヤボ。なぜなら…~欲望から決意へ~

「○○に、私はなる!」と明確化した時から…

少年ジャンプの人気漫画「ワンピース」の「名言」は数多くあるのですが、
中でも真っ先に思いつくのが、主人公である「ルフィ」のこの「決意の言葉」

「海賊王に、おれはなる!」

ですね。

ワンピースをよく知らない人でも、このセリフだけは知ってるって人は多いんじゃないかと思います。

ちなみに「ワンピース」っていう漫画は、
「ルフィ」という少年が「海賊王」に憧れて、その夢を叶えるために旅する物語を描いた漫画ですね。
その中で様々な仲間との出会い、強敵との戦い、数々のドラマが描かれていて、
多くの人の心を掴んで、「ワンピース名言集」みたいな本まで出るくらいの、屈指の名作です。

私も最近は読んでいないんですけど、学生の頃は楽しみに読んでいました。
また時間が取れれば改めて読み始めたいなあと思ってます。

ところで、ふと思ったんですけど。
「どうしてルフィは海賊王になりたいのかな?」
という事を考えると、特に明確な理由が分からないのですね。
それで、ちょっとネットで検索してみたんですよ。
「海賊王になる 理由」
ていうキーワードで。

そうしたら、Yahoo知恵袋で同じ質問している人が、やっぱりいました(笑)
その回答を見ていると、どうやら本当に明確には分からないみたいなのですね。
「あの決意は、実は嘘らしい」なんていう説までもネット上では囁かれていて…
あのシンプルな決意に対してここまで議論が飛び交っていることに驚きました。
まあそれは、ネット上ですからね…暇な人たちm…ウッ!←ブーメラン

それにしても、「海賊王になる!」という決意があのドラマの根源なわけじゃないですか。
ルフィの胸の内にそういう「決意」が起きていなかったら、あの感動的な物語は何一つなかったわけですよ。
そんなに重要な「決意内容」なのに、その理由が不明だなんて、驚きでした。

だけど改めて考えると、そういうもんなのかな、という気もします。
「俺は、英雄になりたい!」
「俺は、世界一の○○になりたい!」
「俺は、○○を極めたい!」
「必ず俺は、それになる!」

そんな人に対して、
「ところでさあ…どうしてなりたいの?理由は?」
なんて質問するのは、ちょっとヤボな気もしますよね。どんだけ水さすねん、みたいな。

「どうしてもそれになりたい!」
そういう思いがあること自体が大切で、そういう強い思いがあるのなら、
別に他人が納得するような理由が必ずしも無くてもいいんだろうなと思います。
ましてそれを他人に説明しなきゃいけないものでもないでしょう。

厳密に言えばもちろん、そんな気持ちが起きた原因は間違いなくあります。
「結果には必ず原因がある」
わけですから、「どうしても海賊王になりたい」という気持ちがルフィの心に沸いた原因は当然あるに決まっていますし、
漫画からもいろいろ推測できそうですよね。

ちなみにルフィは幼い頃に、シャンクスという名の海賊と出会っており、彼に命を救われているのですね。
その彼の生き様がとにかく、格好いいのですね。
そんなシャンクスとの出会い、そして彼から受けた恩、そういうものも、ルフィの夢につながった原因の一つでしょう。

ただ、それはあくまで「きっかけ」ですよね。
同じようにシャンクスに命を救われても、必ずしもルフィと同じように「海賊王になりたい」なんて思わないですよね。
(たぶん私は思わないと思います(苦笑))
ルフィだからこそ、ルフィの中にそういう「種」があったからこそ、
そんな決意をして、しかもその決意のそのまま実行に移して、壮大なドラマを築いているわけです。

そんな彼の中にあった「種」は、もしかしたら誰にも分からない、自分自身にも分からない、
だけど間違いなく燃えたぎっている「何か」なのでしょう。
それを全て解明するなんて、それは不可能でしょう。
大切なことは、
その燃えたぎる「何か」を明確な「決意」に昇華させて、
それを叶えるための「道」を心に描き、
その「道」を実地に歩み始めた、という事なのです。

誰の中にも等しく燃えたぎるエネルギー源

ワンピースでやけに熱く語ってみましたが、
仏教では、人間の心の内に燃えたぎっているもの「煩悩」と教えています。
「煩悩」の代表格が「欲望」ですから、強烈な「欲望」が、人間の心の中には常に燃えたぎっているという事です。
そんな人間のことを仏教では、「煩悩熾盛の衆生」と言われます。
「熾盛」はまさに「燃え盛る」という事ですから、誰でも内に熱く燃え盛っている「煩悩」があるのですね。

ルフィは漫画の中の架空のキャラクターなので、
別に「ルフィのあの決意の源も煩悩なんだ」なんて言いたい訳ではないですよ。
ただ、現実の人間の中には、もれなく「煩悩」が燃え盛っている事は、間違いありません。

ところが大抵は、それがただ内側でモヤモヤと渦巻いているような状態なのですね。
「ああ…お金持ちになって、いい生活がしたいなあ…」
「あ〜、彼女が欲しいなあ、綺麗な人と街を歩きたいなあ…」
「たくさんの人から慕われたら、気分いいだろうなあ…」
まあ、こんな感じですよね。

ルフィみたいに、
「億万長者に、おれはなる!」
「最高の彼女を、おれはつくる!」
「ファンを1000人、おれはつくる!」
と強く「決意」をして、それを叶える「道」を心に描いて、その「道」を実地に歩む、
には中々至れないわけです。
ただ、「ああなたらいいな…」「こうなったらいいな…」と、漠然と思っているだけです。

大切なのは、この違いです。
同じ「煩悩」でも、同じ「欲望」でも、
それが、ただ漠然としてモヤモヤした「思い」のままなのか、
それが、明確な「決意」となり、具体的な「道」となるのか、
この違いが非常に大きな意味を持ちます。
心中で常に渦巻いている煩悩によって、ただ煩わされて一生を過ごすのか、
心から願うことを実現させるための「道」を精一杯歩むのか。
どちらも「煩悩熾盛」の人間の姿には変わりません。
だけど、生き方は全く変わりますね。

基本的に煩悩は、私達を煩わせ、悩ませるものです。
さらに、その煩悩に「悪縁」が加われば、いろいろな社会問題にも発展します。
犯罪も、迷惑行為も、借金して破産の憂き目にあうのも、人間関係を壊す言動をとってしまうのも、
いずれも「煩悩」が、社会的に良からぬ方向へと動いてしまったからに他なりません。
欲望や、怒りや、妬みのような様々な煩悩が、何らかの「縁」に触れると、
その「縁」次第では、どんな暴挙に出るとも知れない。
そういう危ういものが「煩悩」なのですね。

「夢を持つ」
というのは、そんな燃え盛り、モヤついている煩悩を、
明確化して、進むベき「道」を描いて、着実にその道を歩む人生へとシフトする事とも言えます。

自分の未来に明確な道を作るには

どんな時も、自己の煩悩を観つめ、よく観察するという習慣をつけることが、
仏教ではとても大切だと教えられます。

なぜなら、他ならぬそれは、自分自身の事なのだから。
「己を知らない」ほど危うい事はありません。
自分が一体、何に動かされ、何に振り回されているのか、それに無自覚であるという事は考えてみると恐ろしい事です。
だから仏教では、「自己とはどんなものか」「煩悩とはどういうものか」これを詳しく説かれ、
そんな自己の実態とまっすぐに向き合う事を勧められます。

「目」は外向きに付いているように、私達の心もどうしても、外側へ外側へと向かってしまい、
「あの人が気に入られない…」
「この会社のこういうところが問題だな…」
「こんな社会だから、上手くいかないんだ…」
いろいろな問題を「外側」の問題としてしまいがちです。

もちろん外側の「縁」にも色々な問題があることは間違いありませんが、
問題は内側の「因」にもあります。

仏教では、全ての結果は「因縁が揃って」起きるのだと説かれます。
「縁」は、いま列挙してあような「あの人が」「あの会社が」「この社会が」という外側の環境の事で、
「因」は、あのルフィの内に燃える「海賊王を目指さずにいられない」心のように、
自己の中で渦巻く「心」であり、その「心」に従った自らの「行い」の事です。

その自らの「心」や「行い」に目を向けてゆくと、必ず気づくことがあります。
「どうして私は、あの人のことがこんなに気に入らないのかな…」
「どうしてこの会社と、私はこんなに反りが合わないのかな…」
「どうしてこの社会に、こんなにも私は不満を抱くのかな…」
このように、これらの「縁」をきっかけに、そこから自己の「因」に目を向けてみてください。
自分の中に、どんな煩悩が、どんな欲望が、激しく逆巻いているのかが見えてきます。

「そうか、自分の中にこんな願望が渦巻いているからなのか…
その願望にこの人は衝突しているのか、この会社はそこに嫌な形で干渉するのか。
だからこんなにも心はザワつくのか。」

この、自己の強い「欲望」を知ることは、とても重要です。
私の行動を振り回す根源を知るという事ですから。
そして、その「欲望」をより具体的に、いい形で「明確化」できれば、それはあなたの「夢」にもなります。

その「欲望」を、ただモヤつかせているのでなく、
明確化して、「○○に、私はなる!」「○○を、私は成し遂げる!」という「決意」に変えれば、
私の中の最も強いエネルギーを源として、心から願う結果を目指す人生へとシフトするでしょう。

「欲望」を「決意」に変える。
海賊王は目指さないにしても、ルフィのあの名言は、私達にとって、そのような意味を持つと言えますね。

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